鉄筋のL1って何?

鉄筋工事では、L1とかL2という言葉が出てきます。いったい何のことでしょうか。

結論から言うと、L1は鉄筋の重ね接手の長さを、L2は鉄筋の定着の長さを表します。

鉄筋は構造的に重要な役割を果たしますので、鉄筋の切れ目にあたる継手や定着部分は構造上の弱点にならないよう注意が必要です。そのため、設計図には重ね継手や定着の長さについて、どれだけの長さが必要か特記されています。

■ 日本建築学会の構造規準

重ね継手や定着の長さをどれだけとったらいいか、一般的に判断のもとになっているのが日本建築学会の「鉄筋コンクリート造構造計算規準」(略称:RC規準)です。

そして、日本建築学会の建築工事標準仕様書には、これを鉄筋の径ごとに数値を安全側に丸めて実務上わかりやすくした表が記載されています。

例えば、日本建築学会の「建築工事標準仕様書 同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事 2018」を見ると、以下の表が記載されています。

鉄筋の継手長さ
鉄筋の定着長さ

表中のdは異形鉄筋の呼び名の数値を表します。また、鉄筋の種類やコンクリートの設計基準強度の違いによって、L1やL2 の数値は異なっています。

例えば、コンクリートの設計基準強度が21(N/m㎡)でSD295Aの場合、D13のL1は、40d=40×13=520となり、520mm以上の継手長さが必要になります。

また、国交省営繕部の公共建築工事共通仕様書においても、同様な表が記載されています。

■ 建築基準法の規定

建築基準法においても、鉄筋の接手や定着についての記載があります。

建築基準法第20条「構造耐力」の規定により、建築基準法施行令第73条「鉄筋の継手及び定着」にて重ね継手について定められています。

第七十三条 (鉄筋の継手及び定着)  (※ 第1項、第4項は省略しています)

2 主筋又は耐力壁の鉄筋(以下この項において「主筋等」という。)の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける場合にあつては、主筋等の径(径の異なる主筋等をつなぐ場合にあつては、細い主筋等の径。以下この条において同じ。)の二十五倍以上とし、継手を引張り力の最も小さい部分以外の部分に設ける場合にあつては、主筋等の径の四十倍以上としなければならない。ただし、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる継手にあつては、この限りでない。

3 柱に取り付けるはりの引張り鉄筋は、柱の主筋に溶接する場合を除き、柱に定着される部分の長さをその径の四十倍以上としなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

出典:建築基準法施行令|e-Gov

参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000338_20200907_502CO0000000268

■ まとめ

L1とは鉄筋の重ね接手の長さのことで、フックの有無、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度の違いによって必要とされる長さが異なります。

実務において、一般的に、日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS)や国交省の公共建築工事共通仕様書の表の数値が使われています。

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