シーリングとコーキングの違いは?
工事現場では、外壁や窓廻り、キッチン・浴室などの水廻りなどの目地や間隙部分に、ゴムのようなものを施工します。水道のパッキンやガラスのはめ込み部などのように、あらかじめ形ができているものを定形シーリングといいます。
これに対し、外壁の目地やキッチンの隙間を埋めたりする場合などにおいて、不定形のシーリングを使います。例えばチューブ容器に入ったペースト状のシーリング材を、コーキングガンと呼ばれる専用の道具を使って押し出す施工がそれに当たりますが、この作業のことをコーキングともいいます。
工事現場では人によって言い方が異なり、統一されていないのが現状です。なぜこのようにシーリングとコーキングの二つの言い方があるのでしょうか。
■ 英語で書くと
シーリングを英語で書くとsealingとなり、「密封すること」を意味します。
また、コーキングを英語で書くとcaulkingとなり、「隙間などをふさぐこと、隙間などに詰め物をすること」を意味します。
このようにどちらも同じような意味です。
■ 日本産業規格(JIS)
● JIS K 6800-1985(接着剤・接着用語)
シーリング材:
構造体の目地、間げき(隙)部分に充てん(填)して防水性、気密性などの機能を発揮させる材料
油性コーキング材:
展色材(天然樹脂、合成樹脂、アルキド樹脂など)と鉱物質充てん剤(炭酸カルシウムなど)を混合して製造したペースト状のシーリング材。相対変位の小さな目地のシールに使用される。
● JIS A 5758(建築用シーリング材)
シーリング材(sealant)
不定形の状態で用い,硬化又は乾燥することで,接着力及び凝集力によって目地をシールするための材料。
※ 建築用油性コーキング材はJIS A 5751で規定されていたが、ほとんど使用されなくなったため2000年3月に廃番
■ 日本シーリング材工業会(JSIS)による統一表記
日本シーリング材工業会(JSIS)では、近年、「シーリング」に表記を統一しています。
■ シーリングの歴史
日本で最初に建築用シーリング材として使われたのは、油性コーキング材でした。1952年にアメリカから輸入され、建築用不定形シーリング材の主流として広く使われてきました。
例えば、日本住宅公団がつくった団地のRCの目地やサッシ枠廻りは油性コーキング材が使用されるなど、一般建築に浸透していき、油性コーキング材の施工業者はコーキング屋と呼ばれました。
しかしその後、弾性シーリング材が主流になると油性コーキング材は使われなくなり、1990年代にはシーリング全体使用量の1%以下にまで低迷していきました。
このような背景から、昔からの職人や年配の人は不定形シーリングのことをコーキングと呼ぶことが多いのです。
■ まとめ
現在、現場などではシーリングとコーキングは同じような意味で使われています。言い方の違いだと思って差し支えないかと思います。ただし、油性コーキング材という場合は、厳密な意味を把握しておいた方がいいです。