アスベストのレベルの違いとは?

 アスベスト(石綿)は耐火性・断熱性・防音性などに優れ、建物の色々な建材に使われてきました。

 しかし、アスベストを吸い込むことにより、悪性中皮腫(ガンの一種)などの健康障害を引き起こすことがわかり、1975年に吹き付けアスベストが禁止となりました。

 その後、アスベストを含む各材料の製造中止が段階的に進み、2004年には一部の規制対象外の製品を除いた多くの製品でアスベスト含有が禁止となりました。

 したがって、上記の禁止以前に建てられた建物については、改修や解体の際に注意が必要です。図のように建物の多くの箇所で使用されている可能性があります。

 実際に作業をするにあたっては、労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物処理法などの多くの法令が関係するため、十分な確認が必要です。

 特に石綿障害予防規則(労働安全衛生法に基づく厚生労働省令)では様々なことが定められています。

 さて、アスベストが使用されている建物の解体等の作業、封じ込め・囲い込みの作業は、発じんの度合いにより、3種類のレベルに分けられています。発じん性が高いということは、粉じんの発生のしやすいこと、飛散しやすいことを意味します。

 

  レベル1:発じん性が著しく高い作業

                  アスベスト含有の吹付け材

(吹付け石綿、吹付けロックウール等)

  レベル2:発じん性が高い作業

                  アスベスト含有の保温材・耐火被覆材・断熱材

(石綿保温材等)

  レベル3:発じん性が比較的低い作業

                  成形板などその他アスベスト含有建材

(ケイ酸カルシウム板、スレート板等)

 そして、レベルの違いで必要とされる措置が異なります。レベル1ではより厳しいものになります。

  • 休憩室、洗浄設備・更衣設備等の設置 
  • 作業場所の隔離措置(レベル1)
  • セキュリティーゾーン、粉じん除去設備等の設置(レベル1・2)
  • 作業に従事する労働者以外の立入禁止措置・掲示(レベル1・2)
  • 関係者以外の立入禁止措置・掲示
  • 保護具等の使用
  • 湿潤化

 アスベストの有無、そしてアスベストのレベルの違いにより、工期や費用に大きな影響が出るため注意が必要です。

 木造の戸建住宅ではレベル3までで済むことがほとんどですが、もしレベル1やレベル2となれば隔離養生や前室の設置などが必要となり大きく工費が上がる可能性があります。特にS造では耐火被覆材として吹付け材料が使われることも多く、注意が必要です。